人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ロストバゲージ

万に一つの確率で起こる、不都合な事実

 毎日暑い、暑いからか、私のやる気は以前と比べると格段に落ちた。充実していたとばかり思っていた毎日が、突然、落ちるところまで落ちたという感じだ。もちろんやる気はある、あるにはあるが、悲しいかな、向かうところ敵なしだった情熱が今のどうしようもない暑さに競り負けるのだ。まあ、考えてみれば、私は暑さに弱い、なので、今もどうにかこうにか生きている状態で、それ以上のことは望むべきもない。

 そんな体たらくの私だが、最近気になって仕方がないことがある。それは、秋に行く海外旅行で、荷物を預けるかどうかについてで、それの何が問題なのかと言うと、要するに、噂に聞く”ロストバゲージ”のことだ。今まで、行きのフライトで、荷物を預けたことが無かったのは、もしも自分の荷物がそうなったら、厄介だと思ったからだ。もちろん、帰りの便では、荷物が多くなった時は躊躇せずに預けていた。それは、日本であれば、たとえそうなったとしても、何とかなるとの考えからだった。

 では、実際ロストバゲージになったら、荷物が見つかるのにはどれぐらいの時間がかかるのだろうか。自分の荷物が見つかり、それが自分の手元に戻って来るにはどれくらいの日数がかかるのだろうか、そこのところを詳しく知りたくても、ネットの情報ではわからなかった。以前あるイベントで知り合った人に、「今まで、ロストバゲージにあったことはありますか」と聞いてみたことがある。彼女はその頃、長年勤めていた介護施設を退職して、月に一度は海外旅行に行っていた。彼女ならそんな経験があるのではないかと思って一番聞きたい質問を投げかけた。

 すると、予想は当たった。あの時、確か開口一番「心配しないでも大丈夫、荷物は必ず戻って来るから」と言われた記憶がある。では、ロストバゲージに会った彼女はどうしたかと言うと、とりあえず日常生活に必要なものをスーパーで買いそろえた。生活に必要なもののほとんどを預けたスーツケースに入れていたから、大変だったはずだが、彼女は動じない。よく話を聞いてみると、すぐに荷物が自分のところに戻ってくるだなんて、期待しない方がよさそうだ。ネットの情報では、宿泊先の住所を必要書類に記入したりして、待ってさえいれば、旅行中に届けてくれるという嬉しいことが書いてあるが、実際はどうなのだろう。

 ロストバゲージにあった人に話を聞いたのは彼女が初めてで、まあそれくらい、起きる可能性が低いということなのだろうが。では、彼女の場合は荷物はあれからどうなったかと言うと、なんと、帰国して数日後に、自宅に送られてきたそうだ。なるほど、そういうわけだったのか、「必ず自分のもとに戻ってくる」という言葉の意味がようやく分かった。彼女に言わせると、起こってしまったことに対して嘆いても仕方がないので、受け入れるしかないということなのだろう。

 私は彼女ほど潔くもないし、物分かりもよくないので、それができない。荷物を預ける心の準備もないし、万に一つの危険を冒す勇気も持ち合わせていないので、持ち込み手荷物にこだわってきた。そんな私も、姉たち3人と台湾旅行に行った時は姉たちの真似をして、急遽預けようという気になった。預けたはいいが、到着した台北の空港では自分たちの荷物を見つけるのに苦労した。だいたいが荷物を預けたことがないので要領を得なくて、無駄に右往左往してしまった。最初からフライトの便の番号のブースを目指せばいいのに、そんなことにも気付かなかった。

 実を言うと、4年前に手荷物検査で変圧器を没収された苦い記憶が頭を離れない。だからこそ、今回は荷物を預けた方がいいのかどうか、迷っている次第だ。自慢にもならないが、私自身は相当にラッキーで、ついている人間だと思ってはいるが、なにぶん不安というものはつきものだ。今はその不安を完全に払しょくできる最善策を探している最中である。

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