人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

機内泊の衝撃

簡単に考えていたら、えらいことに

 今こうしてこのブログを書いているが、実は昨日ヨーロッパから帰ってきたばかりだ。帰りの機内で、「現地の天候は晴れ、気温27度となっております」とのアナウンスを聞いた時は仰天した。とても信じられなかった。なぜなら、パリもロンドンも、暑いイメージしかないあのマドリッドさえも、冬に近い寒さだったからだ。いったい全体どうなっているのだろうか、家に落ち着いて、テレビのニュースを見たら、日本は異常気象だと言うことだった。ちょうど帰国した日は、11月における最高気温の記録を更新したのだと知った。機内が寒すぎて、持って行ったユニクロのダウンコートを袋から出して着たほどだ。でも、降りる時はさすがにもう必要ないと、またコートを丸めて袋に収めた。

 さて何から書いていいか、とても戸惑っているが、まずは今の気持ちから書いてみようと思う。今は正直言って、日本に帰ってきて、本当にホッとしている。なぜかと言うと、今回は行く前からトラブル続きで、その後の4年ぶりの旅の困難を予感させるようなことしか起こらなかったからだ。まあ、いざ行って見たら、事実その通りだったのだが、何とか切り抜けて帰国できたこと、そのこと自体がとても幸運だった。海外旅行というのは、体調が万全という前提のもとに行くのが望ましいし、必須の条件だ。それなのに、今回の旅はそれが怖ろしいほどに欠けていた。能天気な私はそれでもなんとかなると気にもしなかったが、やはりいくら何でも一抹の不安が心をよぎった。

 中でも一番私を不安にさせたのは、10月になって,胃の具合が突然悪くなったことだ。経験した人にしかわからないだろうが、身体の中にガスが溜まって、外に出て行かなくて、喉元まで食べ物がつかえているような息苦しさを感じた。何かの本で読んだことがあるが、ガスが溜まる原因は息を詰め過ぎることだと言う。要するに、緊張の連続を強いられて、息を止めるような事態が頻繁に起こっているらしいのだ。となると、まさに旅行前の自分はそんな状況にあった。だんだんと出発日が近づいているのに、事態は好転するどころか、悪くなるばかりだった。だが、そんな状況にあっても、旅行を中止すると言う選択肢はなかった。ここでやめたら、絶対後悔するに違いない、とそう思った。

 それなりに覚悟して臨んだものの、機内泊というものは初めての経験だった。私がこれまで聞いた情報によると、機内泊はホテルの一泊分に相当し、お得だと言うことだったが、いったい何がお得なのかは全然わかっていなかった。これまで午前中出発の便にしか乗ったことはなかったので、機内泊がいったいどういうものか、その何たることかを想像できないままに搭乗してしまった。そんな体たらくだからか、体調が悪すぎたせいか、ぼろ雑巾のごとく、疲れ果ててしまった。飛行機の出発時間は午後9時50分で、本当なら布団に横になって寝ている時間だ。だが、エコノミークラスなので、身体を横たえることなどできない。眠い、十分に眠いのだが座って眠ると言うことができなかった。身体をリラックスさせて、目を閉じてみるがやはり眠れない。

 今更こんなことを言っても仕方ないが、横になれるとなれないのでは雲泥の差がある。昼の便なら、座ったまま12時間50分でも全然構わないが、機内泊となると、後々のダメージが大きすぎた。この時初めて、ビジネスクラスの人を羨ましいと感じた。機内泊と言うと、以前ロシアのサンクトペテルブルグからモスクワまで乗った寝台車を思い出す。約8時間横になって行けて、しかも最安で3千円ほどの料金なので、現地の人は大変人気があった。もちろん、熟睡するところまではいかないが、8時間も座って行くことを考えると、横になれると言うことがどれだけ有難いかを身をもって知った。全く疲れというものを感じないでいられる、そのことが嬉しかった。

 ない物ねだりをしても始まらないが、とにかく、私は今回、機内泊というものが、予想外に手ごわいものだと言うことを思い知った。あれは、経験を積めば、慣れるものなのだろうか。いわゆる、夜行バスと同じ様に考えていいものなのだろうか。と言っても、もちろん私は、夜行バスにも乗った経験はないのだが。

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