人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

にわか雨でずぶ濡れに

全身ずぶ濡れ、でも歯医者に行かなければ・・・

 先日はにわか雨にたたられて、最悪の一日になった。と言いたいが、”喉元過ぎれば熱さを忘れる”タイプの私はたいして気にしてはいない。むしろ、面白かったと今になってみれば思う。はっきり言って、”備えあれば憂いなし”でちゃんと想像できたであろう事態にそなえておけばよかったのだ。いつもなら、天気の急激な変化が予想される時は必ず何らかの準備をするのに、その時は油断してしまった。

 確か、あの日お昼ごろにゴロゴロッと雷が鳴ったと思ったら、雨が降ってきて風も激しくなった。私はその様子を窓から他人事のように眺めていた。雨風激しい天気が少し続いたと思ったら、ピタッと雨がやんで、嘘のように晴れ間が広がった。ああ、これが朝の天気予報で気象予報士が注意を呼び掛けていたことかと早合点した。そして、夕方にも雷雨があるだなんてことは私の頭の隅にもなかったのだ。あの日、歯医者の予約があって、以前ブログで「歯医者を変えたい」と愚痴ってしまった歯医者なのだが、夕方に予約が入っていた。

 窓の外を見ると、どう見ても素晴らしい青天が広がっていた。だが注意深く観察してみたなら、雨雲もチラッと見えていたはずだし、この後どうなるか分からないぞと思えたはずだった。だが、能天気で、考えなしの私は「こんないい天気なのだから大丈夫」だと自分の都合のいいように考えた。天気というのはどんなに青天であろうと、急激に変わり得るものなのに・・・。

 いつものように、歯医者への道を歩いていたら、急に天気が変わり始めた。ポツン、ポツンと雨が降ってきたので傘を差す。傘だけは念のためにと持ってきたので助かった。だんだんと雨粒が大きくなり、風も激しく吹いているせいか、思うように前に進めない。途端に傘がバンザイをしてしまった。でも大丈夫、私の傘は雨風に強いタイプの物なので、すぐに元に戻すことができた。歯医者までは歩いて30分で、あの時は物凄く長く感じた。その時の私はできるだけ濡れないようにとそれだけを考えて雨風激しい中を歩いていた。だが、ふと足元を見ると靴がビショビショで、当然靴下も濡れネズミのようになっていた。

 その瞬間私は思ってしまった、果たしてこの靴下で、いやこの足で歯医者のスリッパを履けるだろうかと。普段なら、雨の日は替えの靴下ぐらい用意しているのだが、その日は不測の事態で、靴下はなかった。そんなとき、普通の人はどうするのだろうか。仕方がないので濡れた靴下を脱いで、誰もが履く共同のスリッパをはけるのだろうか、素足で。あれは確かに「消臭、抗菌仕様で清潔です」とボックスに能書きが書いてあるが、皆が履いている物をご一緒に履くことには変わりない。私には素足であのようなスリッパを履く選択肢は考えられなかった。どう考えても想像するだけで気持ちが悪い。

 それなら、やるべきことはひとつだ。要するに代わりの靴下を見つけることで、どこかの店で何でもいいから安い靴下を買うことだった。どこで買ったらいいのか、スーパーは近くにあるけど、靴下までは売ってない。ならば、どうしよう。そうだ、100円ショップがある、あそこならタオルだって買える、とようやく気が付いた。幸運なことに歯医医院の途中に小さな100円ショップが一軒あるので、そこへ駆け込んだ。靴下のことばかりに気を取られていたが、ズボンもビショビショで椅子に座わりでもしたら跡が付きそうだった。それで、靴下だけのつもりが濡れた足をふくタオルとバスタオルも買うことにした。

 歯科医院のドアを開けると、入口で早速履いていた靴下を脱ごうとした。そしたら、そこへ細身の女性がドアを開けて入ってきた。「どうぞ、先に入ってください。私は靴下がビショビショなので、履き替えないと上がれないので」と断わると、「私も雨が小降りになるのを待っていて、その隙に来たのですが・・・」

 どうしようもない天気のおかげで、普段は接点がない人と少し世間話ができた。ただ、その人は「雷が鳴っている音が怖くて、なんだかドキドキしてしまって」と嘆き、「本当は具合が悪くて、ここに来るのをどうしようか迷ったんだけど」と先生に訴えていた。「椅子に座って少し休んで行っていいですよ」と言われていたが、私が治療を終えて帰るときに声をかけても応答はなかった。目を閉じたままつらそうな様子でソファにもたれたままだった。あの方はちゃんと家に帰れただろうか。他人事ながら心配だ。

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