人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

チロルチョコとキティちゃんのカップ

今週のお題「チョコレート」

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バレンタインは人それぞれでいい

 バレンタインデーというと女性が男性にチョコを贈る日と世間では言われています。でも、実際には自分のためにチョコを買う人もいるし、友達同士で贈りあって楽しんだりもしているのです。この時とばかりと高級チョコを自分だけのために買う友達も居て、デパートの地下にある売り場について行ったことがありました。そのデパートの売り場は見るからにおしゃれで高級感に溢れていて、見慣れた食品売り場とは一線を画していました。聞いたこともない名前の店は入った途端、ここが本当にチョコの店なのかと疑うほどでした。まるで宝石店のようなのです。ショーケースの中に展示されているチョコはどれも美しくまさに芸術品でした。自分の日常とはかけ離れた別の世界に紛れ込んだような気がして、とても新鮮な気持ちになりました。でも、何か場違いなところに来たような気がして早く帰りたかった覚えがあります。

 ちょうどその頃私の中ではチロルチョコがブームでした。それで余計に違和感を感じてしまったのです。ゴディバのチョコに憧れてドキドキしながら買いに行きました。なのに食べてみたらがっかりしてしまいました。味が濃厚過ぎて、美味しいと感じられないのです、どうしても。「本物のチョコの味をわかっていない」と言われればそれまでなのですが、淡白な日本のチョコレートの味が好きなのです。チロルチョコの何が、どこがそんなにいいのか。それはいろんな味が楽しめるからで、もちろん美味しいことは言うまでもありません。季節ごとに味が変わり、春には桜もち、夏は氷イチゴで、かき氷のシャリシャリ感を見事に実現していたのがすばらしい。秋には焼き芋味で、冬は何だろうか、残念ながら今はすぐに思いだせません。

 特に感心したのが「きな粉もち」でチョコときな粉餅を同時に味わえて一挙両得です。ミスマッチのような組み合わせでも、実現させてしまえばその味は新感覚と呼ばれるのですね。それとストロベリーチーズケーキ味や抹茶ラテなどの抹茶味もよく食べたものです。ひとつ20円ほどで買えるので、コンビニのレジに置いてあるのを見つけると、ついつい「これもお願いします」と買ってしまうのです。スーパーでもクリスマスの時期になると、円いプラスティックのケースの中に詰められたチロルチョコを見かけます。色とりどりの可愛い包み紙のチョコを見てたら、やはり買わずにはいられないのです。

バレンタインに貰ったキティちゃんのカップ

 バレンタインデーで今でも忘れられない贈り物はキティちゃんのカップです。そのカップは中学生の頃に麻衣ちゃんという友達から貰ったものです。たいして大切にしていたわけでもないのに、未だに健在なのですから運命を感じてしまいます。でもその贈り主とは今では音信不通です。喧嘩したのではありません。たしか臨床検査技師になろうと専門学校で勉強して、資格試験に受かって晴れて就職できたところまでは覚えています。職場では大変なようで、頑張っているのにうまく行かないとか、自分のダメさ加減が嫌になるとか聞かされました。でも電話で悩みを聞くだけで、私には麻衣ちゃんにかける言葉が見つかりませんでした。勇気づけてあげたいのに、何を言っても無意味な気がして沈黙するしかありませんでした。そうこうしていたら、二人の関係は自然消滅したのです。

 麻衣ちゃんがあの日、私に贈ってくれたのは、手作りのチョコレートクッキー3枚とマグカップでした。そのカップは私の大好きなキティちゃんのカップでした。とても嬉しかったので、親友に見せたら意外なことを言われてしまいました。「これって、銀行の粗品で貰ったやつじゃない?」。カップが入っていた箱をよく見たら、誰でも知っている有名銀行の文字が小さく印刷されていました。でも気づかなければそのまま見過ごしてしまうくらいの小さな字でした。すぐに「節約家の麻衣ちゃんらしいなあ」と私は思いました。一方の親友はというと、ちょっと見方が違うのです。「あの人のお父さんは医者だし、お母さんも働いている。クラシックのコンサートには家族でよく行くらしい。なのに友達のプレゼントに粗品を贈るわけ?」と手厳しいのです。実は麻衣ちゃんはみんなから少しばかり変わっている人と思われていたのです。その頃「天然だった」私は、彼女の変わっているところが面白くて、新鮮に感じて友達になったのでした。

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