人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

黄身がふたつ、それは幸運の印

10個入りのパックに黄身が16個!も

 卵を割ったら、あら、不思議、黄身が二つで、双子ちゃんだったことが以前はたまにあった。でも最近では、そんな幸運?な場面に遭遇することは滅多になくなった。黄身が双子の卵のことなんて、すっかり忘れて毎日を過ごしていた。ところが、先日新聞の投稿欄の『あけくれ』に載っていた記事を読んで仰天した。投稿者は神奈川県藤沢市の林芙佐子さんという60代の女性だった。林さんは『卵を食べようと割ってみると、黄身が二つありました』と書きだしていて、それを読んで私は「あら今どき珍しい」とチラッと思い、「でもそれがどうしたの?」と言うのが本音だった。だが、読み進めていくと、最後に『結局、10個入りのパックに黄身は16個。今年一年分の運を使い果たしたような気分になりました』とあったので、これは凄い!と感動せざるを得なかった。

 まさか10個のうちの8個が双子だなんてありえない、想像すらできない事態だ。単純に比較はできないが、まるで宝くじに当たったかのような幸福感を卵はもたらしてくれたのだろう。おそらくその感動と喜びを誰かに言いたくて、伝えたくて、堪らなくなった。親戚や友達だけでは足りなくて、できればもっと多くの人に声高々に言いたくなった、となれば、新聞の投稿欄にでも書いて送って見ようかとなるのは自然なことだ。林さんはワクワクしながら、卵を目玉焼きにしたり、さらに感動的な調理法をと考えて固茹で卵にしてみた。『殻をむくと、固まった黄身が外側に寄ってうっすら黄色い部分が斜めに二カ所あり、縦に半分切って確認』と書かれていて、なんだか楽しそうな様子が目に浮かんだ。

 私も子供の頃は双子に遭遇すると胸の高鳴りを覚えたものだが、林さんによると、実はこのような双子の卵は規格外としてはねられてしまうのだと聞いたことがあると言う。なので、双子の卵は市場に出回ることはなかったのだが、おそらく卵の価格高騰のせいでまた出回ることになったのではないか。実は黄身が二つ有る卵は、外見から容易にわかるらしく、明らかに通常より細長く、中央がややくびれているとのこと。いやはや、10個中8個の黄身が二つの卵を観察した人ならではの、貴重なご意見だ。こちらは「へえ~、そうだったの!」とぼんやりした目を大きく見開かざるを得なかった。そう言えば、パックから卵を出して使う時に、この卵やけに形が細長いなあと思ったことがあったが、何のことはないただの普通の卵だった。

 卵と言えば、私はいつも思うことがある、それは黄身が崩れてしまう卵をどうしたものかと言うことだ。もちろん生で食べることはしないが、別に腐っているわけでもないので、つまり賞味期限内なのだから、熱を加えれば問題ないと考えていいのだろうか。以前、3個連続で黄身が崩れてしまうことがあったときは、さすがに「この卵、どうなっているの?」とパックの日付を疑ってかかった。そんなときはネットで検索してみるに限る。いつもの習慣でググってみたら、別に問題ないと出ていたが、やはり気持ちが悪いので捨ててしまうことが多い。卵の黄身は盛り上がっていて表面がつやつやでなければならないという拘りがある私には無理な話だ。

 卵は国によっても種類が異なるらしく、台湾に行った時は目から鱗だった。私たちは姉妹3人で台北市の中央駅近くのマンションで民泊をし、私はキッチンで目玉焼きを作ろうとした。一個目の卵を割ってみたら、黄身が白っぽく、私の人生においてこんな卵は見たことがなかった。しかも黄身が崩れてしまっている。見るからに気味が悪いので躊躇なく捨てる。気を取り直し、2個目を割ってみると、また同じなので、捨てる。今度こそ大丈夫と思って、3個目を割ってみるが、結果は変わらない。それで、ようやく私は察した、ここの卵すべてこんな風なのだと。仕方がないので、割り切って3人分の目玉焼きを作ったが、すべて目玉なしだ。この時は姉のリクエストでハムエッグだったが、日本で作るのと同様に半熟にするのはためらわれた。もしも、腐っていたらという思いに駆られて、念入りに焼きすぎてハムを焦がしてしまった。案の定、ハムは固くて食べられた代物ではなくなっていたので、3人とも全員残した。なんとも悲惨な結末だった。

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