人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ワクチンを巡る人間の心理

今週のお題「575」

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 ワクチンで 揺れる世の中 静観し

 最近テレビを見ていて、連日のニュースでワクチン接種が順調に進んでいるのかのように思っていました。私の知人も離れてひとりで住んでいる75歳の母親のためにワクチンの予約をしたそうです。最初ダメ元で電話をしたのですが、「しばらく経ってからおかけください」としか応答してくれません。それでスマホでしようとしたのですが、何度やっても繋がりません。「アクセス制限中」の画面しか表示されないので、諦めかけていました。それでも、これが最後だと思ってやってみたら、予約の日時や接種場所を選択する画面に行けたのです。それで幸運にも母親の予約を取ることができました。それなのに、「予約ができた」と聞いた瞬間、母親は側にいた友達に「今日はこれから外食に行こうか?」などと言うのでした。母親としたら、これで安心だと錯覚してしまったのです。そんな母親を見ていたら、そのお気楽さに呆れ、自分の苦労など考えない態度にだんだんと怒りが湧いてきました。ワクチンの予約を取るのにどれだけ大変な思いをしたか、察してもくれない母親に怒りが爆発して、思わず「自分の家で食べろ!」と怒鳴ってしまったのです。その後、母親は予約した日時よりも早くワクチン接種を受けることができました。幸運にも市役所から連絡が来たそうで2週間も早くワクチンを打つことができたのです。

 先日ワクチンのことが気になって、田舎に住む叔母に電話をしました。社交的な叔母なら、知り合いにすでにワクチン接種をした人が何人かいるだろうと思ったからです。ところが、聞いてみると予想に反してほとんどいないのです。その理由は電話がつながらなかったり、ネットにアクセスできないからなのかと思ったら違いました。すでに予約を取っているはずなので、自分の番が来ないだけなのでした。つまり、叔母が住んでいる地域ではワクチン接種が遅れているのです。叔母の知り合いはたいてい75歳以上の高齢者なので、私としてはすでに1回目のワクチン接種は完了しているのだとばかり思っていました。予想外の展開に仰天しました。

 叔母も今年75歳なので、すでに役所からコロナワクチンの接種のお知らせが届いています。そのお知らせによると、予約できる日は生年月日によって分けられており、叔母の場合は今月の14日から受付が始まるそうです。電話やネットでのアクセスが集中するのを避けるための対策なのでしょう。でも叔母は「私には関係ないけど。受けるつもりはないから」とワクチンは打たないと決めているのです。なぜそう決めたのか、叔母なりの他人には干渉することができない理由があるのです。そこで、一句読みます、ワクチンで 揺れる世の中 静観し

 どうやら、叔母は自分の経験から世の中の常識を疑ってかかっているのです。ワクチンを打つのが当たり前の世の中、しかもインフルエンザと違ってタダで打てるなら、打たないと言う選択肢はない、そう考える人がいることは確かです。でも、叔母の夫は毎年健康診断をしていて、肺に豆粒ほどのガンが見つかったのに医者は何もしてくれませんでした。早期発見して治療すれば助かるというのが常識のはずなのに。「様子を見ましょう」と言われて、何カ月か経ってから、「この場所では手術はできません」と匙を投げられてしまいました。それで入院して抗がん剤放射線治療をするしかないと言われました。でも夫は病院では自由がないと入院を拒否しました。驚くべきことに、夫は医者から余命あと数か月と告げられるまでの1年間は普通に生活できていたのです。でもある日ふと医者に「あとどのくらい生きられますか?」などと聞いてしまいました。

 「あと数か月持つかどうか」、医者は本人の目の前で余命宣告をしました。そう医者から告げられた夫はそれから食べ物が喉を通らなくなりました。その日から亡くなるまでの3か月ほどはガンとの闘いの日々でした。叔母は今でも診察室で医者が漏らした一言が忘れられないのです。「入院しなくてよかったかも。あなたと同じ病気で入院した人は皆亡くなっているから」

 

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