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ウイルス発生の原因と微生物

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ウイルスはなぜ来たのか

 先週の日経の3月21日の夕刊で作家の篠田節子さんが、「ウイルスはなぜ来たのか」について言及していました。この誰もが知りたがる究極の問いにリチャード・プレストンの著書『ホットゾーン』から答えを導きだしました。現在カミュの『ペスト』がミリオンセラーですが、篠田さんはエボラ出血熱を扱ったこの作品を勧めています。この作品は「アウトブレイク」いう題名で映画化もされていますが、何より原作には重要な部分、つまり問題の核心に迫る記述があるからです。それは猛威を振るうウイルスの原因となる事実を小説の中で訴えているからです。

 「新顔のウイルスは環境破壊の進んだ地域から浮上している。その多くは人間の入植が進んでいる熱帯のサヴァンナから生まれているようだ

このように熱帯雨林をウイルスの貯蔵庫とみなして、そこからウイルスがまず動物を宿主として選び、その後動物から人間に住処を移して拡散を目指していくのだそうです。篠田さんは「熱帯雨林」を急激な開発の進んだ中国の自然に置き換えてみるとよくわかると言います。自然破壊が進み生態系が破壊されると動物とヒトとの距離が近くなりすぎてしまうのです。そうなると、ウイルスはそれを絶好の機会とみなしてヒトを宿主にして勢力を広げていく傾向にあるそうです。

20年で新型が3度出現は異常

 あるテレビ番組で池上彰さんが、「ウイルスはどこから来るのですか」という出演者の質問に答えていました。その質問に、はっきりしたことはわかっていないが、たとえば、渡り鳥が飛んできて、川の水を飲んだりして、ウイルスをその土地に運んでくる。その後、その水を家畜も飲んで、その肉を食べた人間にウイルスを拡散するのだと説明していました。その背景にあるのは中国にはまだ未開の土地、つまり中国の現在の繁栄に置いて行かれた多くの部族民族が住んでいる地域が多々あることです。そのような地域は総じて衛生状態が悪いために病原菌の格好の住処となるのです。

 「20年で新型コロナウイルスが3度というのは異常な出現頻度だ」

このように『感染症と文明』の著書でもある山本太郎長崎大学熱帯医学研究所教授は指摘しています。3度というのは、2002~2003年に流行したSARS、2012年のMERS、そして今回の新型コロナウイルスのことをいいます。山本教授も「無秩序な開発や地球温暖化による生態系の変化で、ヒトと野生動物の距離が縮まっている」と警告しています。いずれにしても、感染症は撲滅ではなくて、いかに共存するかが今後の課題なのだと語っています。

微生物とその宿主を追い出したのが原因

 さて、コロナで時間ができたので、以前読もうと決意して挫折してしまった本を手に取りました。その本は2年前に話題になった『土と内臓』(築地書館2700円)で副題は”微生物が作る世界”です。地質学者と生物学者の夫婦がガーデニングを通じて微生物の驚くべき世界と魅力に迫る興味深い内容の本です。その詳しい内容はまた後日書くことにして、今はこの本の9章に注目してみたいと思います。この章では「伝染病」について言及していて、農耕社会が発生する前は人間は40~50人程度の小集団で暮らしていた。人々は狩猟で得られるものを何でも食べていた。そんな生活様式、絶えず移動し、他の集団とは交流しない生活では伝染病は存在しなかった。だが、人が定住生活を始めると伝染病は襲ってきた。汚れた飲み水、動物の死骸や人間の排泄物等は病原菌の格好の住処となった。

 この本では人間を絶滅させるような病原菌も含めて”微生物”と位置付けています。そこでまた「病原菌はそもそもどこから生まれたのだろう」との疑問が自然と湧いてくるのです。本書での答えは私には目から鱗で、なんと「木を1本切り倒すごとに、土地にくわを入れるごとに、私たちは微生物とその宿主を追い出してきた!」のだそうです。人間の集中は、細菌などの病原体にとっては理想的な舞台で、チャンスがあれば微生物はすぐに新しい宿主に飛びつくのだといいます。

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