人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

欲しいものはお金!?

今の子供は現実的?ではなくて切実!

 5月5日の子供の日にちなんで、ある生命保険会社が小学生に「今一番欲しい物」について調査を行った。すると、想像もしなかった衝撃の結果が出たそうだ。なんと一番欲しい物の第一位はお金!?で、子供が欲しがるゲームソフトやアイドルのグッズはそれほど人気がなかった。まあ、考えてみれば、お金があればなんでも好きなものを買えるのだから、現金が手っ取り早いのだが。さすがに今の子は現実的で賢いなあと勝手に解釈していたら、その理由を聞いて仰天した。お金が欲しいのは、自分が楽しむためなどではなく、ただ安定した生活を送りたいからなのだ。たぶん、周りの大人、身近にいるのは両親なのだろうが、その大人たちが苦労しているのをつぶさに見ているからこそ、そんな切実な思いが生まれるのだろう。

 親たちが直面している問題はお金があれば、お金さえあれば解決できると信じているのだろう。つまり、子供は今のような不透明でどうなるか分からない不安な生活に怯えているのだ。だが子供はお金を稼げない。無力なので、じっと息をつめて傍観しているしかない。そうやって日々我慢している姿が浮かんでくる。自分の子供時代を思うと、いやはや全く考えれない事態だ。小学生の時から,生活の心配をしなければならないなんて、どうにかならないものなのか。子供は本来能天気で、生活の心配などしないものだというステレオタイプな考えの私には身につまされる。

 家族で楽しく過ごすことができるのも、安定した生活があればこそのことなのだ。それを可能にするのは、第一にしっかりした経済的基盤があることだ。夫婦仲がいいとか悪いとか、親が自分に対して理解があるとかないとか、優しいとかそうでないとか、そんなことは二の次なのだ。ある意味贅沢なことなのかもしれない。だから、一番望むものが、お金なのは当然のことなのだろう。お金で安定した生活を買いたい思うのはごく自然な発想だ。お金は人の幸せを左右するほど万能なものらしい。

 以前、朝日新聞の投書欄『声』にひとりの小学生の悲痛な叫びが載ったことがあった。その子は一人っ子で両親共に働いていて、家には自分ひとりでいることが多い。彼の最大の心配は両親が夜遅くまで働いていて、なかなか家に帰ってこないことだ。だから自分は寂しくて堪らないということかと思ったら、自分の気持ちよりも両親のことが心配なのだ。いつも仕事で疲れている様子、懸命に頑張っている様子を見ているとどうにかなってしまうのではないかと。それに父親はときにはケガをして帰って来る!理由を尋ねたら、お酒があまり飲めないのに上司に言われるままに飲んだらふらついて転んでしまったそうだ。一人ぼっちの家で夜遅くまで不安でいっぱいになりながら、親の帰りを待っている小学生の男の子のことを想像してみたら、胸が張り裂けそうな思いに駆られる。

 今はデジタル時代で小学生でも簡単にアプリが作れる世の中だ。その一方で一番守りたい、大事な両親のことが心配で堪らない環境に子供がいることに違和感を覚える。新聞の『声』欄にはたまに投書に対しての感想や意見が寄せられるが、この小学生への激励文はまだ載らないままだ。おそらく、どう慰めたら、どう励ましたらいいのか、いい考えが思い浮かばないのだろう。いわば、子供の人生相談のような深刻な問題に大の大人が模範的な答えを見つけられない。自分も含めて情けない限りだ。

 そういえば、私の高校時代の心配は親が病気になって死んでしまったらどうしようかと言うことだった。でもそれは高校の3年くらいになって将来のことを考えたら、ふうっと湧いたことに過ぎない。父親が50歳を超えてからできた子なので、無理もないことかもしれない。実際は父親は80過ぎまで生きていてくれた。その頃の私の心配など、投書の小学生の心の痛みに比べたら取るに足らないことだ。

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