人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

木製のストロー

書店で偶然、木製ストロー制作キットに出会う

 先日大型書店にある本を捜しに行ったら、思いもかけないものに出会った。それは、噂に聞いたことはあるが、見たことはなかった木製ストローで、本物を見て仰天した。とてもよくできている。自分勝手に、木がストローになんてなるの?と色眼鏡で見ていたが、ちゃんとストローになっていた。

 あの日はお目当ての絵本を買おうと、買う気満々で都心の大型書店に出掛けた。だが、その絵本はなく、新聞に載っていた湯本香樹実さんと酒井駒子さんによる『橋の上で』だけは何冊もあった。酒井さんの絵が気になって、手にとって、最後まで読んで、というよりは眺めてみた。あらすじは簡単で、橋の上で少年が今にも飛び込もうとしているところに、雪柄のセーターを着たおじいさんが現れて、みずうみを見たことがあるかと聞く、それだけの話だ。ただ、人は誰でも心に自分だけの”みずうみ”を持っているとその老人は謎めいたことを少年に言って立ち去る。そうなると、少年は自分の中にもみずうみはあるのだろうか、いや、もしあるとしたらそこには何があるのだろうかと考えた。もう、その時点で、川に飛び込もうかなどという切羽詰まった気持ちは消えていた。読んで見た感想はこの絵本は小さな子供というよりは、中学生以上もしくは迷える大人が必要とする絵本だと思う。

 さてもう帰ろうかと思ってトイレのある7階に行ったが、すこし休憩していこうと置いてある椅子に座った。座って何気なく横を見たら、陳列台があって、なにやら箱が積まれていた。4cmほどの厚みの箱が4つほどあるのだが、果たしてこれは何なのか、気になった。なんとそれは『木製ストロー制作キット』で、薄く切った木の皮、それを確か○○の華というらしいが、それを5枚と接着剤、へらなどの道具がセットになっていた。値段を見ると3800円、最近の世の中ではSDGsが推奨されているが、気軽に買える値段ではない。箱の裏面には作り方が書いてあって、説明通りに薄い木の皮をくるくる巻いていけば、木製ストローが5本作れるらしい。

 なるほど、こんな簡単に作れるのかと感心していたが、ふと隣に何かビニールの袋に入った物があるのに気が付いた。よく見てみると、それは完成した木製ストローで、ビニールの袋には3本入っていた。値段を見ると、1800円で、一本あたり600円もする。できることなら携帯用の入れ物も付いているとなおいい。でもそれだと余計に高くつくから敬遠されてしまうだろうか。ストローを入れる容器なんて、100円ショップででも探せばいいか。マイ箸ならぬ、マイストローでSDGsだ、世の中に貢献できる。毎日カフェを利用する人なら買う気になるはずだ。だが、私の場合は2年以上に及ぶコロナ禍で、あんなに好きだったカフェが今ではどうでもよくなってしまった。それに家ではストローは無用の長物で必要ない。というわけで、木製ストローに出会って感動したにも関わらず、私は木製ストローを手に取ることもなくその場を去った。

 以前、グラスに直に口をつけて飲む”デッド飲み”について書いたが、考えてみると、ストローって本当に、そんなに必要なものなのか疑問に思う。グラスに入った飲み物には付き物のストローだが、それは単なる習慣であって、無くてもいいものではないのか。まさに”あったらいいなあ”ぐらいなもので、外国にはストローは存在しない。そう言えば、昔サグラダファミリアの正面にあるカフェでコーラを頼んだら、ボーイさんが持ってきたのはコーラの瓶とグラスだけだった。グラスの中には日本なら当然と言える氷も入っていない。”郷に入っては郷に従え”なので、何の違和感も抱かない。

 コロナ禍になる直前に行った台湾では、マクドナルドでコーラを頼んだら、カップの蓋の中央に飲み口が付いていた。まるで、ボディソープを詰替えるために付いているあの尖った口にそっくりだった。あれは凄くよく考えられているなあと感心したが、日本でもそうなのだろうか。日本でマックに行く機会が無いので真相は分からないのだが。

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