人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

きのう何食べた?

小さな幸せ、気づかせてくれるドラマ

 新聞をパラパラと捲っていたら、テレビ欄の「試写室」のコーナーで、『きのう何食べた?season2』についてのコメントを発見した。また、あのドラマがやるのかと思ったら、楽しみで仕方がないが、放送時間を見たら、深夜の0時12分だった。私がいつも寝ている時間で、とても起きていられないので、やはり録画して見ることにする。今回のエピソードは、シロさんが絶体絶命のピンチに陥るようで、その原因が昨今のどこまで続くか見当もつかない物価高だった。一カ月の食費2万5千円でやりくりしているにも関わらず、あと3日もあるのにお金が足りなくなったというのだ。いやはや、あの几帳面で計画性のあるシロさんが、と正直少しびっくりした。と同時になんだかほっとする。

 これまで、ドラマを見た限りではシロさんはいつも仕事帰りにスーパーに寄って買い物をする。本日の特売品を狙って、より安くお得な買い物を目指しているのだが、たいていは”祭りの後”で、たいして品物は残っていない。冒頭で書いた新聞とは別の新聞にもこのドラマのことが載っていて、そこには「シロさんは定時に仕事を終えて」という記述があったが、あれはどうみても、7時頃のスーパーの光景である。どこを見ても、すでに皆が買って行った後、という風景に間違いない。なので、シロさんは、陳列ケースの奥にねぎとかホウレンソウとかの野菜がへばりついているのを発見し、笑顔になることも多々あった。

 このドラマを見始めたとき、どうしてこんなに自炊にこだわるのか、疑問に思ったことがあるが、今ではそんな下世話な考えは吹き飛んだ。考えてみると、お金というものは、”塵も積もれば山となる”で使いだしたらキリがないのだと言うことを実感している。そんな些細な事で、とか、それぐらいのことで、とかいうアバウトな考えが痛い目に合う元凶となることを学んだ。シロさんの1カ月の食費2万5千円という守るべき課題は、シロさんの幸せに深く関わっている。おそらく心の平安が脅かされるのをひしひしと感じているのだろう。シロさんは昨今の物価高にどう立ち向かうのだろうか、楽しみだ。

 料理好きだから、シロさんは仕事の後でも、億劫がらずに夕飯を作ろうと思うのだろうか。そうだ、忘れていた、恋人のケンジのためでもあった。節約のためとはいえ、仕事で疲れていないわけでもないだろうし、相当なエネルギーがいるのではないか。はっきり言って、仕事の帰りにもう何もかも売り切れているスーパーに立ち寄ることなどしたくない。要するに、買い物は週末に済ませて、本当は流行りの”つくおき”でもすればいいのだが、それよりも遊びたいのでそんな面倒臭いことはしない。

 たいして料理好きでもない私は問題外だが、最近ふと思ったことがある。それは料理というものは恋人同士で一緒にすれば、最高に楽しいことではないのかということだ。私は今フランス語の勉強をしていて、NHKラジオのまいにちフランス語を聞いているのだが、そのお話の中にカミーユとユウキというカップルが出て来る。彼らはフランス人と日本人の国際カップルで日本に住んでいて、仕事の後で一緒に料理をして夕飯を楽しんでいた。それが、驚くべきことに夜の8時ごろで、「キッシュでも作ろうか」などと、気軽に提案し、本当に作って食べる。よく考えてみると、私だけかもしれないが、何もしたくないし、朝が早いのでゆっくりしたいのが本音だ。とてもじゃないが、彼らの真似はできない。

 それにそんなに夜遅くに食べて、太らないのだろうか、と余計な心配をしてしまう。一般的にフランス人の夕食は遅めで8時頃だそうだが、実際に現地に行くと、太っている人はひとりとしていなかった。皆スマートなので、内心、「たいして、美味しい物を食べていないのねえ」と揶揄したくなってしまうのだ。美味しい物を好きなだけ食べられる日本人でよかった、などと浅薄な考えに落ち着いてしまいそうだが、勘違いしている場合ではない。欲望のまま食べていたら、体重増加で苦しむことになる。

 ここで、話を元に戻すと、『きのう何食べた?』のシロさんは、どちらかと言えば量も少なめでしかも美味しい物を作ろうと努力している人だ。ドラマの中で、二人で幸せな気分に浸りながら、「美味しいねえ」と顔を見合わせる場面が大好きだ。

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