人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

英語字幕でドラマを見るようになった

今週のお題「変わった」

別に勉強目的ではなく、自然とそうなって

 春になって変わったことと言えば、ドラマを英語字幕で見るようになったことだ。英語の勉強のため、と思われるかも知れないが、必然的にそうなっただけのことだ。つまりそれまで見ていた無料動画のGAOが3月で終了し、気軽にいつでも見られるサイトがなくなってしまったのだ。もっともその頃のGAOは以前やっていたドラマばかりで、目新しさが全くなく、当方も見飽きていて、滅多にサイトにアクセスすることはなかった。それでも、きっと虫の知らせなのだろう、ふと思いついて久しぶりにGAOの画面を開いたら、『3月31日をもって終了』という告知が出ていた。

 最初は俄かには信じられなかったが、すぐにまあいいかと思った。その時の私にとっては見たいものが何もなかったので、仕方ないか、ぐらいの気持ちで寂しさはたいして感じなかった。それはたぶんその頃にはすでに別の動画配信サービスを見つけていたからだ。Huluでもなく、U-NEXT でもなく、Netflixでもない、あまり聞いたことのない中国の動画配信サービスのiQIYI(アイチーイー)で、正直言って、海のものとも山のものともつかない、なんだか胡散臭い感じがした。アイチーイーは世界で何百万人もの人々が視聴する動画サービスで、基本言語は英語だが、たまに日本語字幕のドラマもあった。BSなどでやっていた中国ドラマを試しに見てみると、なんだか日本語字幕が変で、見ていて物凄く気持ちが悪い。その気持ち悪さの原因は、その字幕が「日本語を知らなすぎるにもほどがある」と歎きたいような代物だったからだ。どうやらAI字幕のようで、時代背景やその場面の状況を重んじる人間の手は一切入っていない。

 思わず見るのをやめてしまったが、考えてみると、アイチーイーに興味を持ったのは中国語を勉強していたからだった。中国語字幕でも見られるから勉強の役に立つという浅薄な考えからだった。今にして思えば、それは大それた幻想だったが、そのおかげで英語字幕でドラマを見るようになった。その頃中国語を勉強していたのは中国ドラマ、特に時代物が好きで、それならぜひとも中国の故宮に行って見たいと思ったからだ。それが中国語の勉強のモチベーションとなり、中国旅行が最大の目標になった。

 ところが、当の中国は依然としてゼロコロナ政策が続いていて、当分行けそうもないことが分かってきた。それで、私は行き先をヨーロッパのパリに変更し、ついでにユーロスターで英国にも行って見ようと思いついた。パリは当然フランス語が必須だが、空港などでは英語が立派に通用するので、自分の錆びついてどうしようもない英語を何とかしなければと考えた。それで一発奮起し、NHKのラジオ英会話を聞き始めた。初めは嫌々で3日坊主になるに決まっていると冷ややかな目で自分を見ていたが、なんと信じられないことに物凄く楽しい。

 それに味を占めた私は、無謀にも英語字幕を受け入れ、辞書を片手にドラマを見始めた。正直言って、辞書を引き引き、ドラマを見るのはめんどくさかったが、そのうち慣れてきた。要するに、ドラマに出てくる単語はある程度きまっていて、物覚えが悪い私であっても頻度の高い単語はいつの間にか頭に刷り込まれているらしい。今ではほんのたまに辞書を引けばいい程度にはなったが、問題は字幕が次のに変わるのがあまりにも速くて、長くなると読み取れないことだ。それで、一旦停止で字幕を読んでまた見る、を何度も繰り返しながらドラマを見ている。それでも嫌にならないのは今見ている『風起洛陽』のストーリーが面白いからに尽きる。

 先日、試しに字幕が表示されている時間を測ってみたら、なんと5秒だった。これはどう考えても短すぎる。テレビで放送されている中国ドラマの日本語字幕は果たしてこんなに早かっただろうかと疑問に思った。試しにティファニー・タンの『燕雲台』の字幕を測ってみると7,8秒で思った通りだ。おそらくネイティブの人には5秒でも十分なのだろう。なので、私ができることはただ一つ、字幕の速さに慣れることだ。アイチーイーの最大のメリットは何と言っても料金が安いことで、月880円で何でも見れる。U-NEXT のように、サブスク以外の作品についてはドラマ一回につき200円から300円かかるのに比べると、断然お得だと思う。たとえ、その言語が日本語でなく、英語だとしても十分満足できる。ただ、私が今痛切に感じているのは、人間の手によって翻訳された字幕がどれだけ素晴らしいかと言うことで、こんなことはAI字幕に出会わなかったら、絶対出てきはしない発想なのだ。

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