人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ユーロスターでパリへ戻る

構内にある機械でチェツクインし、チケットを入手

 ロンドンで素晴らしい日々を過ごして大満足だったが、悲しいかな別れの日がやって来た。緑あふれる公園の数々も、美しすぎるセントパンクロス駅も名残惜しいが、ユーロスターに乗って、またパリに戻らなければならない。ユーロスターの乗り場は駅の正門のある地上から行くと、地下に位置していて、延々と階段を降りなければならなかった。通りにある地下道の入口からアクセスするのが正解だと気付く。パリで乗車するときに、出発時間の2時間前にならないと構内に入れないとわかっていたので、もうそんなに早く行く必要はなかった。ただ、なにぶん私はほとんどの乗客が持っているようなチケットを持っていないので、まずはチェックインして、チケットと交換しなければならない。

 そのため、ユーロスターの改札のところに立っている係員にその旨を尋ねてみた。すると、その人は、私が持っている印刷した予約のコピーを確認すると、「私について来て」と言って、どんどん歩きだした。いったいどこに行くのだろうと不思議に思ったが、ついて行くと、そこには何台ものディスプレイが並んでいた。それらはどうやら、チェツクインするためのものらしく、その人は慣れた手つきで、用紙に書かれた受付番号を入力し、パネルを操作していった。すると、機械の下の方から、チケットが出てきたので、なるほどこういう仕組みになっていたのか、と思わず膝を打った。

 そう言えば、パリの北駅にはロンドンのセントパンクロス駅にあるようなチェツクインのための機器などはなかった。聞くところによると、ロンドンからはパリだけでなく、オランダのアムステルダムにもユーロスターで行けるらしい。さすがに、ネットの情報でも、ここまで詳しいことは誰も教えてはくれなかった。現地に行ってから、誰かのお世話にならないことには、前には進めないことを痛感した。知らない誰かに尋ねる勇気と最低限の言葉は必要であることは言うまでもない。その点において、現地では英語が通じて、私の拙い英語でもなんとかなったことは実に幸運だった。フランス語だとかスペイン語だとか生半可に覚えていても、本当に困ったときはとっさの英語が役に立つものだ。そのことを、いやと言うほど経験したのが今回の旅行だった。

 その教訓を忘れないためにも、まだ頭の中は牛のごとく旅行気分を反芻しているにも関わらず、早速、習慣になりつつあるNHKのラジオ英会話を復習した。いつも旅行から帰ると語学学習を中断してしまうナマケモノの私にとっては、このようなことは実に驚くべき行動と言える。

 さて、私のユーロスターの予約は格安乗車券だったためか、座席が選べず、当日のお楽しみの感があった。行きはスペイン語を話す饒舌な親族3人組と合席の4人席だったが、帰りは2人席だったので、とてもリラックスできた。乗車して、自分の席を見つけたとき、窓側の席だったが、そこにはすでに先客がいた。私が来たのに気づくと、彼は席を立って、私を「どうぞ」と促したが、私は、「通路側の方が好きだから」と断った。すると、彼は笑って、「本当にそれでいいの?」というような顔をした。

  パリまでは2時間30分で、ロンドンからこんな短い時間で行けてしまうことに改めて驚かざるを得ない。これがもし飛行機で行くとなったら、何倍もの時間を要することを思うと、ユースターを利用する乗客が多いことも頷ける。パリに着くと、腕時計の針を1時間進めた後、タクシー乗り場を捜した。モンバルナス駅の近くにホテルを取っておいたので、そこに行くためだった。「TAXI」という表示はすぐには見つからなかったが、ふと見ると、TAXIが列をなして停まっている場所があった。だが、あんなにTAXIがうじゃうじゃいるにも関わらず、誰も乗ろうとはせず、どの車もいっこうに動く気配はない。これは一体全体、どうなっているのか。この後、その謎が解けた。この続きは明日書くことにしよう。

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