人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

カセットテープ

昔はずいぶんお世話になったなあ

 先日の朝日新聞の土曜版の『サザエさんをさがして』のテーマはカセットテープだった。サザエさんが台所でモップを掛けていて、ふと茶の間に目をやると、ワカメが寝転んでいる姿が見えた。また、あの子は寝転んで本でも読んでいるのかと思い、『ダメよ、ねころんで、ご本見ると、目が悪く』なるからと注意しようとしたら、拍子抜けしてしまった。なんと、ワカメは友達と一緒にカセットテープから流れてくるお話に聞き入っていたのだ。それは今で言うところのオーディオブックで、この漫画の日付は1970年の6月15日で、朝日新聞の朝刊に連載されていたものだ。長谷川町子さんの目の付け所がさすがに鋭いと感心する。

 聞くのであれば、別にどんな格好でも構わない、とやかく言われる筋合いはないのだ。ただ、あの頃、物語を聞くというか、特に小説を読むのではなく、聞くと言う発想があっただろうか。小説を読むことは、いまこのときとばかりに集中することであり、その世界に没入することだ。もちろん読むのは自分自身なのだから、どんな面白い本でも、読後には軽い疲れを感じるのが自然だ。なので、目が疲れるからとか、聞くだけなら楽だからとか言った理由で、オーディオブックが売れているのも頷ける。私自身は昔はよくラジオを聞いていて、たまにNHK第二の語学講座の後に『日本昔話」とか、『お話出てこい!」といった面白い番組に出くわすこともあった。市原悦子さんや常田富士男さんの巧みな話術に惹きつけられて、あっという間に時間が経った。物語を聞いていると、頭の中にその情景が浮かんできて、もちろん映像は無いのだが、まるでそこにあるかのように錯覚してしまうから不思議だ。

 カセットテープと言うと、私は昔は大変お世話になった。いったいどれくらい、考えられないくらいの量のカセットテープを買っただろうか。それにカセットテープレコーダーも次々と取り換えた。あれは毎日使って、酷使していると、当然のことながら故障した。ある日突然、ストを決行し、うんともすんとも動かなくなった。それでこちらも、そんなときに備えて、ちゃんと予備のレコーダーを用意しておいた。動かなくなった方を修理に出している間に、もう一つの方に働いてもらった。修理は早くて10日ほどかかって、返って来ると待ってましたとばかりに酷使する。すると、またすぐ壊れるのでまた修理に出すの繰り返しだった。2度ほど修理に出すと、さすがの私の我慢も限界になり、お払い箱にした。

 なので、この頃にはすでに私の中に、カセットテープレコーダーは消耗品なのだと言う考えが染みついていた。できるだけ安くてお得なレコーダーを探して、目いっぱい使い倒すしかないと思っていた。そんなとき、NHKのラジオの語学講座のテキストの見開きに、ある画期的な商品の広告が載っていた。それはオリンバスのICレコーダーでプログラム機能で予約をしておけば、勝手に番組を録音してくれるという夢のような機械だった。こんな優れものがあったらいいのになあとすぐにでも、飛びつきたかったが、新商品だから値段が高そうだとブレーキが掛かった。オープン価格は3万円ほどだったが、なにより、今使っているカセットやレコーダーをどうしたらいいのだろうと言う思いの方が強かった。

 自分は別にそんなものは買わなくてもいいと一旦は思ったものの、好奇心は抑えられず、ビックカメラに見に行ってしまった。別にそれが目的ではなく、ついでだったのだが、ちょっと見るだけのつもりが購入してしまった。私を買う気にさせたのは、価格が2万円台に下がっていたのと、ポイントが1万円近くあったことで、オープン価格のほぼ半額で買うことができたからだ。ただ、今から思うと、そのICレコーダーには少々問題があって、SDカードが使えなかった。まだ発展途上だったせいか、使ってみて初めて、その使いずらさに気づけたのだ。それで、結局今使っているソニーの商品に買い替えた。以前ヘルニアの手術をした時にもう一台購入したので、今は2台のICレコーダーをフルに使って語学を勉強している。

mikonacolon