人生は旅

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長男誕生で、叫びたい

今週のお題「叫びたい!」

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アンデス高原北部、標高3800mにあるチチカカ湖NHKまいにちスペイン語テキストから。

名前の由来は、父親の叫びそのもの

 以前同僚と昼休みにたわいもない話をしていたら、なんとなく自分の名前の由来についての話題になりました。各自それぞれ名前には意味があるのですが、その中で特に印象に残ったのは、光喜(こうき)という名前でした。光喜という名前の由来は、ズバリ「光が喜ぶ」で父親の名前が光なので、その時の彼の感動と喜ぶ様子をそのまま素直に表現したら、悩むことなく光喜になったのです。つまり、光喜と名づけられた同僚の男性は父親にとってはまさに待望の子供だったわけです。実際、子供の頃から自分の生まれた時のことを散々聞かされてきました。父親は病院で子供が無事生まれて、しかも男の子だと知らされたとき、「やった!」と叫んでしまったとか。この時の父親の行動には病院の人も家族も皆仰天したそうです。

 父親が喜びを抑えられず、おもいっきり全身で表現してしまったのには、ちゃんと理由がありました。彼は東北の農家の長男に生まれたので、子供の頃から家は自分が継ぐものだと思っていました。農家だけでは食べていけないので、当然会社員になりましたが、家に居るときは農業を手伝っていました。米や野菜は自分の家で作るので、あとの魚や肉だけ買えばいいのです。彼が30歳近くになると、周りが縁談を強く勧めて来るようになりました。それまでも縁談はあったのですが、若かった彼はどこ吹く風と聞き流していたのです。そんな彼も自分が結婚して子供を持たなかったなら、この家は絶滅してしまうのではと焦りを感じていました。

 もし彼に誰か適当な相手がいたなら、問題はなかったのですが、残念ながらそんな相手はいませんでした。言われるままに見合いも何回かしましたが、いつだって断られてしまいました。なぜなら、彼の側の条件が悪すぎたからです。その頃の農家の嫁は辛い立場だというステレオタイプなイメージが出来上がっていたからです。実際、嫁はどこかで働いて現金収入を稼ぎ、農家の仕事も手伝うのが一般的でした。家のために朝から晩まで働いて、自分の時間さえ持てない、しかも両親の面倒も見なければならない、そんなところに来てくれる嫁はいるのでしょうか。それに身体が頑丈で健康な人でなければとても農家の嫁は勤まりません。

 彼には市会議員の家に嫁いでいる姉がいて、隣の地区に住んでいました。ある日その姉がある縁談を持ってきてくれて、相手は20歳を過ぎたばかりの若い女性でした。彼の母親はどうしてもこの縁談をまとめたかったので、ある一つの条件を出しました。それは嫁には一切の農作業をさせないと初めから約束することでした。母親自身は農家の嫁ではなくて、家付きの娘で立場は違いましたが、農家の嫁の大変さは十分に理解していました。母親の切なる願いが通じたのか、縁談はうまくまとまり、彼は結婚することになりました。結婚後も母親は嫁に配慮して、できるだけ優しく接しました。もちろん農作業を強要するようなことはなく、嫁の自由にさせていました。一方、彼はこれで後継ぎさえできれば自分の責任を果たすことができると思っていたのです。

 ところが、肝心の子供になかなか恵まれませんでした。神様のいたずらなのか、せっかく妊娠してもなぜか流産してしまうのです。聞いたところによると、偶然火事の現場に居合わせてしまったとか、そんなことが2度もありました。妊婦が火事を見るとショックを受けてしまうのか流産することが多いそうです。もう子供は持てないのではないかと悲観することもありました。そんな絶望を潜り抜けた先の長男誕生なのですから、これが現実ではなくドラマならうれし涙を流す場面でしょう。

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