人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

近いって、close それとも near?

close とnear のイメージの違いに目から鱗

 先日のNHKラジオ英会話のテーマは「近い」で、closeとnearのイメージの違いに仰天した。実を言うと、near という単語はよく使っていたが、もう一つの単語、closeは全く馴染みのない単語だった。そう言えば、昔、あいにくの雨の日に通りを歩いていたら、外国人に道を聞かれた。たしか、明治通りを歩いている時で、通りを向こう側に渡ると、もう少しで新宿高島屋が見えてくる場所だった。おそらく誰かに道を尋ねようにも人があまり歩いていなかったらしい。そこで、運よく出くわした私たち日本人に出番が回ってきたのだ。どうやら、新宿駅と代々木駅のどちらが、今いる場所から近いかというのを知りたかったらしく、closerという単語を使っていたことを覚えている。最初は耳慣れない単語に戸惑ったが、すぐに、「ああ、そう言うことか」と納得した。初めて知った、こういう時はnearではなく、close を、それも原形では比較級を使うのだと。日本に居ても偶然に外国人と遭遇したり、あるいは海外旅行でピンチになる度に英会話を勉強する機会が訪れた。それでも、ちゃんとした単語のニュアンスや使い分けは身につくはずもない。だからこそ、大西泰斗先生の講座は聞き逃せないし、とても役に立っている。

 さて、今回のダイアログは、就職面接のために真新しいジャケットを着ているジャンが、友人のシンディと話をしている場面から始まる。二人が話していると、そこへ一羽の鳥が飛んできて、シンディが「まあ、鳥の糞だわ」と叫ぶ。すると、ジャンは慌てふためき、自分のジャケットを確かめながら「That was close.」と溜息をついた。さて、この場合のジャンのセリフは一体どんな意味になるのか。恥ずかしいことに、私には訳せなかった。close という単語の本当の意味を知る由もない私にわかるはずもなかった。直訳すれば、「近かった」となるが、ではいったい何に近いのか。

 正解は、もう少しで鳥の糞が落ちてきて、「危いところだったね」という意味で、closeは身体に迫る皮膚感覚を表している。こういった状況ではnear は使えない。なぜなら、nearはAB間の距離が近いことを表す客観的な距離表現だからだ。例えば、I live close  to Tokyo. とI live near Tokyo. という二つの文を比較してみると、どちらも意味は「東京の近くに住んでいます」となるが、この場合もcloseの方がnear よりもやや近い感じがする。また、距離を表すときも、そこに感情が色濃く乗る場合はcloseの出番となる。例えば、He was uncomfotably  close to me. という文のclose は私の方に近づいてくるという意味で使われていて、「不愉快な気分になるほど、彼は私に近づいてきた」と訳される。

 また、close は比ゆ的な意味でもよく使われる。They are close friends .(彼らは仲の良い友達です)や、命令文で、Take a close look at this photo.といった使い方もできる。意味は「この写真をよく見て」となり、「~を綿密に眺める」といったような目をきゅうっと近づけるそんな感覚が感じられる。では、例えば、「私の家は公園の近くにある」を英文にすると、My house is close to the park . とか、My house is near the park.といった文が考えられるが、この場合はどちらでも構わないらしい。使っている人の感情が乗るかどうかの微妙なニュアンスの違いだから。それと、私はいつも、クローズなんて言いかけて、「あらあら、いけない」となることが多いので、要注意なのだ。発音には神経を使わないと、相手には通じないのだから。

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