人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

本屋大賞第一位のなまえのないねこと気の毒な猫

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名前をもらって幸福に

名古屋に行ったとき、おいしい総菜屋さんで食事しようと友達と待ち合わせをしました。携帯に電話すると、まだ車でこちらに向かっている途中だとのことです。それですぐ近くの本屋で時間をつぶそうとして、出会ったのがこの本、「なまえのないねこ」です。実はこのときはまだこの絵本が本屋大賞第一位だなんて知る由もなかったのです。名前がないのはこの猫のせいじゃないのに、ずいぶん今まで寂しい思いをしてきたみたいです。八百屋さん、喫茶店靴屋さん、魚やさんやパン屋さんにいる猫にはみんな名前があるのに、なぜ自分にだけはないのか、それが不思議で仕方がなかったのです。人間社会ではこの猫のような猫を「野良猫」と呼ぶのですが、この本の猫はたくましさなどみじんもない、どちらかというと弱弱しくてかわいい猫に描かれています。だから、いつかその可愛さをいとしいと思ってくれる人が現れれば幸福になれるのにと思っていたら、救世主が現れました。誰も来ない雨降りの公園で小さな女の子が自分を見つけて声をかけてくれました。この猫の目が透き通ったグリーンだったので「メロンのようなきれいな目をしているのね」と褒めてくれました。それでこの猫の名前は決まりました、そう『メロン』です。

お腹の皮が地面につきそうに

世の中には、飼い猫で名前があってみんなに可愛がられているのに、実は可哀そうな猫もいるのです。田舎の親戚の家の猫ときたら、大きさは普通の猫の2倍はあって中年のおじさんみたいなりっぱなお腹をしていて貫禄があります。ただ、のっそりのっそりと歩くときにお腹の皮が地面につきそうになるくらいたるむのを見るとギョッとしてしまいます。明らかに運動不足なのですが、この家の家族は猫を外に出したがらないのです。この家の猫は一日中台所に監禁されているので、隙あらば逃げ出そうといつも狙っているのです。「どうして外に出さないの?猫がかわいそう」と部外者が文句を言っても、外に出すほうがもっと可哀そうだと譲らないのです。以前外に出したらほかの猫にいじめられて血だらけで帰ってきたから可哀なのだと言うのです。それにしても、あの巨体で他の猫にやられること自体想像もつかないですし、どう見ても猫のボスとしか言いようがない体格なのですが弱っちいらしいです。

保護猫なので過保護に育ててしまい

実はこの猫はフクという名前で、お嫁さんがもう少しで保健所送りになる猫を可哀そうだからと貰ってきました。せっかく救った命なのだから大事にしなくてはと思い、車にひかれるといけないので外には出しませんでした。猫の安全を大事に考えるあまり過保護に育ててしまって、大きくなりすぎた猫は外の世界に居場所を失くしました。これが都会のマンション暮らしならいざ知らず、山の中で自然がいっぱいある広々とした庭のある家での出来事なのですから信じられません。「大きくなったからもう大丈夫と思って外に出したら血だらけになって」と嘆いても、外の世界に免疫のない猫をいきなり出すなんて無理があります。隣の家にも猫がいるのですが、こちらは当然のことながら本来の猫の暮らしを満喫しているようです。

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