人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

荒天の日に大型書店で

本の森を歩いていたら、出会いが・・・

 昨日の続きで、「サイレント・アース」を検索すると、在庫ありと出たので、印刷のボタンを押した。小さな紙片には7階の自然科学の棚にあると書かれていた。でもよく見てみると1階のアカデミックコーナーにも置いてあるらしい。早速歩き回って、捜すとすぐに見つかった。「サイレント・アース」は一番下の隅の目立たないところに置かれていて、手に取ってみると意外に分厚い本だった。そりゃあ、本の定価が2750円もするのだから、当然かもしれないが、それにしても厚みがありすぎる。単行本でハードカバーだとばかり思っていたら、体裁がペーパーバックの恐ろしく分厚いバージョンだった。

 気を取り直して、ページを捲って中を見てみると、また驚かされた。字がやたら小さくぎっしりと詰まっていて、余白はほとんどなし。当方は「なぜ昆虫が大切なのか」をどうしても知りたくて興味を持った。いや、買って帰ろうとさえ思っていた。だが、すこし本の中身を読んでみただけで、買う気を失った。自然科学の門外漢で、素人の私が読むには内容が専門的で、かつ難しすぎるのだ。当方が気軽に、読める読み物ではないと思い知らされた。その意味で「サイレント・アース」はいわば研究論文のようなものと言える。たちまち意気消沈した私はすごすごと本を元の場所に戻して、その場から退散した。

 がっかりした私が次に向かったのはNHKのテキストのコーナーだった。そもそもテキストは近隣の本屋のどこででも買えるのだが、大型書店にわざわざ来たのには理由があった。それはポイントカードを店の人に言われるままに作ってしまったからだ。どうでもいいことなのだが、本の種類が豊富で、読みたければ読める場所で、ついでにウオーキングにもってこいの距離にある大型書店に行けば、ポイントも溜まって一石二鳥だと考えたからだった。どう見ても無理にこじつけているとしか思えないが、ポイントカードが大型書店に行くもっともな口実になったことは間違いない。

 レジで会計を済ませた私はトイレに行ってから帰ろうとエスカレーターで4階に行った。4階は心理学とビジネス書が置いてあるフロアーだ。トイレに向かって、並んでいる棚の側を歩いていたら、ある本のタイトルが目に飛び込んで来た。たしか『そいつ、今ごろパフェでも食ってるかもしれないよ』とかなんとかいうタイトルだった。本の帯にはフォロアー何十万人!?とかと書いてあるのが見えた。このタイトルはどこかで聞いたような気がするが、どんな内容かは知らなかった。途端に心の中に好奇心の泡が噴き出した。となると、立ち止まって手に取って読んでみるしかない。表紙は何とも可愛い、ユーモラスな猫のイラストが描かれているが、中身は「うん、うん、そうなのよねえ」と共感することこの上ない内容になっている。

 たとえば、誰かに、特に職場で他人に自分が落ち込んでしまうようなことを言われたとする。その時はサラッと流して気にしないようにした。こんなことぐらい平気のはずだった。ところが家に帰って一人になったら、ふと頭の中にその時の場面がフラッシュバックした。せっかくおだやかで幸せな時間を過ごしていたのに、忘れていたはずの記憶が蘇った。こんな時にどうして思い出すの?と自分を責めたくもなるが、振り払っても振り払っても追いかけてきて消えてはくれない。”これでもう私の一日は終わった”と嫌な気分のまま眠りにつくしかない。”気にしない”ということは言葉で言うよりは容易ではない。当方にしても”言うは易く行うは難し”を実感する。

 この本の著者はJAMさんという人で、本のタイトルである『そいつ、今ごろパフェでも食ってるかもしれないよ』は友達に言われた言葉だそうだ。つまり、自分が死ぬほど気にしてクヨクヨ悩んでいるにも関わらず、言った張本人は自分の事など気にも留めないで、楽しくやっているかもしれない。いや、その可能性大なのだ。だから、今のあなたはバカみたいだから、そんなに悩むのはもうやめときなと言いたいのだ。JAMさんはその友達の一言で救われたと書いている。

 それから、「友達の悩みや愚痴を聞くのが辛すぎる、でも友達なんだから、聞いてあげなきゃね」という大問題。これについては私も毎回、毎回、嫌~な気持ちになって、「もう絶対嫌だあ~」と叫びたくなる。ものすごく疲れるし、穏やかな心に戻るのに時間が掛かる。この問題についてのJAMさんの答えは単純明快で、そうだったのか!そんな考え方もあったのか!と目から鱗だ。要するに、大事な友達を苦しめるような友達は友だちではない。だから、いい人にならなくていい、責任を感じる必要など微塵もないのだとアドバイスする。

mikonacolon