人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

日本人は睡眠時間が短い

寝不足ニッポン、その原因は長時間労働にあった

 テレビのニュースでアナウンサーが日本人は世界的に見ても、睡眠時間が足りない国民なのだと言っていた。だが、そんなことを言われても、正直ピンとこない。それどころか一日8時間眠るのも至難の業で、6,7時間でもう十分じゃないのかとさえ思っていた。だが詳しい話を聞いてみると、世界の人たちは8時間どころか、10時間以上寝ているのだと知って驚きを隠せない。皆そんなに寝ているのかと椅子から転げ落ちそうになるくらいの衝撃を受けた。

 当方の話だが、私は今夜10時には寝て、朝5時15分に起きる生活だが、それでも7時間15分しか寝ていない。となると、8時間睡眠をとるためには9時には布団に寝っ転がっていなければならない。私にとって9時といえば、湯船に浸かって風呂から上がり、暫しホッとしてソファに横になっている至福の時間だ。願わくば、この時間が永遠に続いてくれと心の中で思っている。でも8時間睡眠を目指すなら、そのまま布団に横たわって、自然消滅するというのが理想だ。だが、なかなかそううまくはいかない。まだやらなければならない、いや、そうではなくて個人的にやりたいことがてんこ盛りにあるからだ。要するに、時間が無いのである。それに眠るよりはそのために時間を使いたいのが本音なのだ。もっともそれは昼間のパフォーマンスに満足していないからとも考えられるのだが。

 先日、新聞で見た記事には「日本人が睡眠時間が短いのは長時間労働が最大の原因だ」との記述があった。さらに、「わかりやすく言えば、リッチな国ほど国民はよく寝ている」との紛れもない真実に言葉を失った。そうだった、記事に書いてある通り、「寝る間も惜しんで働く」のが日本人の美徳と讃えられてきたのだ。どうやら世界にはそんな考えは通用しないようだ。映画やドラマで見る富裕層や、特権階級の人々は皆時間に余裕があるし、それは一見暇そうに見えることもあるが、彼らが寝る間も惜しんで働かなければならない理由などどこにもないのだ。

 そういえば、最近読んだ、オーストラリアに留学した女子高校生の便りには目から鱗だった。日本で高校に通っていた時は、学校の課題や塾で寝る間もないほどだったが、現地に来てからはちゃんと8時間は眠れているという話だった。まさか、どうしてそんなことに?と俄かには信じられないが、オーストラリアでは皆それが当たり前なのだ。それにたっぷりと眠っているおかげで昼間のパフォーマンスにも集中できるという。

 考えてみると、長時間労働は残業などが多いことが一つの原因だが、外国ではありえないなあと思った経験がある。それは昔、フランスのパリで、閉店間際のスーパーに行った時のことだ。そのスーパーは日本とは違って土日が休みで、営業時間は朝9時から夕方の7時までだった。私たちは日本にいるような感覚で閉店時間の15分前にスーパーに行ったのだが、もうすでにシャッターは半分締まっていた。中に入ろうとすると、警備員にもう終わりだと止められた。半分空いているシャッターは店から出てくる人のためのものだった。要するに、営業時間が7時までなら、自分たちの仕事も7時で終わりなのだ。彼らは7時になったら家に帰るのだから。

 以前、地中海に面した港町コリウールに行った時、通っていたスーパーでは、ちょうど夏休みで高校生と思しき男の子がアルバイトをしていた。いつもその子に会計してもらっていたので、自然と顔なじみになった。なかなか頭の回転も速く、やる気満々の子だった。偶然、閉店間際の店内に入ったことがあって、レジ係は皆精算作業の真最中で、その子だけがレジをしていた。開店間際と言ってもまだ15分もあるのだが、その子にとっては貴重な15分で、その日は私でレジは終わりだった。スーパーは9時ぐらいまでやっているのが当たり前の日本から来た私にとっては、何とも不便で仕方がないが、よく考えてみれば、その便利さは誰かの犠牲によって維持されていたのだ。まあ、”郷に入らば郷に従え”なのだが、少しぐらい不便でもそれでいいではないか。最初からそんなものとわかっていさえすれば、人というものは順応できるのではないかと思ったのだ。

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