人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

睡眠不足症候群

睡眠時間を増やすためにすることは

 最近私は、日中に眠くなることが多くなった。その原因は自分でもわかっている。要するに、眠くなっても、我慢して起きていていて、就寝時間がついつい11時を過ぎてしまうからだ。不思議なもので、死にそうなくらい眠くても、何か気になることが頭に浮かぶとパソコンを開いてネットを見てしまうことがある。そうなると、嘘のように覚醒し、1時間ぐらいは起きているのは平気だ。そして、当然のことながら、再び眠気が襲ってくると、仕方なく布団に入ることになる。理想的な就寝時間は9時なのだが、何かもったいない気がして、10時まで引き延ばすことが多かった。

 だが、考えてみると、日中に眠くなってしまうのだから、本末転倒で、大谷選手の言葉を借りれば、「パフォーマンスが高まる」どころか、自ら台無しにしてしまっていた。理屈ではもっともだとわかっているのに、どうしても実行できなかった。かつて、『思考の整理学』の外山滋比古先生が、眠いのそれに逆らって何かをする、例えば、勉強などをするのは時間の無駄だと、口を酸っぱくして警告してくださっていたにもかかわらず、それを無視して生きてきた。全く物事の道理がわからない、唐変木だなあと、我ながら呆れてしまう。一時の、刹那の気持ちに囚われて、「もうちょっと起きていたい」とどうしても思ってしまう。そんな気まぐれな気持ちを押さえつけない限り、日中のパフォーマンスを最大限にあげることは無理だろう。要するに、私は往生際が悪く、ひどく物分かりが悪い人間なのだ。

 昨日夕刊を開いたら、『中高生が睡眠不足症候群』という見出しを発見した。精神科の先生が執筆者であるこの記事には、最近授業中に睡魔に襲われると訴える中高生が急増していると書かれていた。昨今の中高生は昔と比べると何かと忙しいのだと想像つくのだが、実態はわからないので、「ふ~ん」と読み飛ばしそうになった。だが、ついでだと軽い気持ちで読み始めたら、驚くべき彼らの生活の実態が浮かび上がってきた。

 たとえば、中学二年生の女子生徒は平日の起床は午前6時で、7時から部活動の朝練、授業と部活動を終えて帰宅する。それから夕食で、あとは自由時間かと思ったら、午後10時までの塾が週3回あると聞いて仰天した。当然就寝時間は11時ごろになるだろう。こう書いていて、この子はいつ学校の宿題、あるいは予習、復習をするのだろうと首をかしげる。それとも、何かに、この子の場合は部活だが、その何かに打ち込む子は、勉強も授業中に何とかこなしてしまうのだろうかというような理想論を振りかざしたくもなる。

 駄目な自分の経験から言うのも恐れ多いが、私は中学生の時バレーボール部に入っていた。授業後に部活の練習をして帰宅し、夕食を取ると、睡魔に襲われ、もう起きてはいられない。よくうたた寝をしていた。ハッとして目を覚ますと夜中だったことが何度もあった。なので、夕食後に出かける、それも塾に行くだなんてことは至難の業だと言うしかない。おそらく、この中学生の女の子は相当な頑張り屋なのだろうが、身体は正直だから、真昼間から寝てしまうのだろう。病院に駆け込まなくてはいけないほど重症化してしまって初めて、自分の生活を見直すきっかけになったようだ。

 精神科医はこの女子中学生を「睡眠不足症候群」と診断を下した。この病気に効くのは、ズバリ睡眠時間を増やすことで、簡単なようでありながら悩ましい問題だ。とにかく皆忙しいから、一日が24時間だとわかりきっているのに、もっと、もっと時間があればと、無い物ねだりをしたがるのだ。たった1時間であっても、人の何倍にも使いたいとタイムパフォーマンスを上げるのに躍起になる。そうなると、いつも何かに、効率を上げることに追われているみたいで、気が休まらなくなってしまう。今この時を充実させること、イーコール、人生を充実させることだなんてもっともらしく言われるのに、少し嫌気がさしてくる。 

 それはさておき、この女子中学生は医師の指導に従って、毎日の起床時間と就寝時間をチェツクし、自分がいったい実際何時間寝ているのか把握しようとした。それから、朝練の回数を減らし、塾の終了時間も早めて、できるだけ睡眠時間を確保するように努めた。その結果、授業中の居眠りは格段に減ったと言うから、睡眠の大切さが身に染みる。

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